特長と構造ビル用制振ダンパーの特長と製品ラインナップ

住友ゴムの制振ダンパーとは

地震が数多く発生する日本においてその安全性と快適性をより高めているのが、制振技術「GRAST」です。100年を超えるタイヤの研究・開発から生まれた「高減衰ゴム」のその優れた特性を余すところなく応用したのが住友ゴムの制振ビル用制振ダンパーです。

  • 省スペース設計で、建物の用途や計画の自由度が高い。
  • 風揺れから大地震まで幅広い用途に使える。
  • 繰り返し使えるので、余震対策にも有効。
  • 高耐久のゴムを使用し、定期メンテナンス不要。
  • ビル以外にも、橋梁ケーブル、戸建住宅で実績多数。
  • 同等性能の他製品に比べ、比較的安価。

ゴムの進化系「高減衰ゴム」

ゴムの特性を知り尽くした住友ゴムがそのノウハウを用いて開発した「高減衰ゴム」。住友ゴムの独自の配合技術は、ゴム素材の可能性を余すところなく発揮することを可能にしました。

レース用タイヤの開発から生まれた「高減衰ゴム」

住友ゴムで長年培ってきたレース用タイヤの開発技術を応用して生まれたのが「高減衰ゴム」です。ゴムならではの適用範囲の広さで、橋梁、ビル、戸建て住宅などの幅広い分野で活用されています。

振動を熱に変えて揺れを抑える、住友ゴムの『GRAST』

「高減衰ゴム」は、振動エネルギーを瞬時に熱エネルギーに変換する特殊なゴムです。住友ゴムの独自技術『GRAST』は、この性質を活かして建物のさまざまな揺れを小さくし、また揺れている時間そのものも短くする技術です。

一般ゴムと高減衰ゴムの変形による運動エネルギーの吸収・発散イメージ
発熱

繰り返し、何度も襲ってくる余震対策にも有効

「繰り返し、何度も使用できる」これはゴムの最大の特長です。住友ゴムのビル用制振ダンパーは、この性質を活かして、繰り返し襲う余震に対しても高い制振性能を発揮します。

風揺れ、交通振動にも効果を発揮。

「小振幅から高いエネルギー吸収性能をもつ」ことが「高減衰ゴム」の特徴の一つです。この性質から、ケーブルの揺れを抑える「橋梁ケーブル用ダンパー」でも多くの実績があり、風揺れなどの小さな振動にも「高減衰ゴム」が効果的であると実証されています。

エネルギー吸収実験
ゴムサイズ:直径80mm、厚さ40mm 測定条件:0.5Hz/20℃/±20mm
※放熱時においても、発火温度までには達しません。

システム断面図

鋼板と高減衰ゴムの接合に「加硫接着」を採用。
ゴムと相性の良い接着剤と鋼板に相性の良い2種類の接着剤を用いた2層構造で、化学反応によって強固な接着を実現します。また、加熱による促進劣化試験では、60年経過しても性能がほとんど変わらず効果を発揮することを確認しています。

低コストで、風揺れから地震まで、ビルのさまざまな揺れの問題を解決

初期剛性は一般的なゴムの50倍。住友ゴム独自の「高減衰ゴム」

住友ゴムの「高減衰ゴム」は高い初期剛性と減衰性能を併せ持ち、微振動から効果を発揮するゴムです。『GRAST』は大地震や余震はもちろん風揺れなどの小さな揺れや長周期地震による長時間の揺れにも効果があり、ビルのさまざまな揺れの問題を解決します。

微振動から効果を発揮するビル用ダンパーを実現

シンプルなダンパー構成でガタつきがなく、「高減衰ゴム」の性能を効果的に引き出す構造なので微振動にも非常に有効です。鉄骨造やコンクリート造、超高層建物から中小規模建物まで幅広く対応できます。

低価格化を実現

高剛性の「高減衰ゴム」は、ビル用ダンパーをコンパクト化し、1基あたりのコスト削減を実現。さらに、設計目標に合わせたダンパー容量の調整が可能なため、制振装置にかける費用を抑えられる可能性があります。また、繰り返し耐久性や経年による性能安定性が優れているため、定期メンテナンスが不要です。

公的機関による建築技術性能証明を取得

住友ゴムではビル用ダンパーの種々の性能について実大試験により確認し、併せて、ダンパーを設置した建物の地震時における応答解析ができるよう、高精度のモデル化を行いました。ダンパーを複数の要素の集合体として捉えることにより、単一の要素のみによるモデル化に比べ、格段に解析精度が向上しています。2012年3月にはダンパーの性能、モデル化について建築技術性能証明を取得しました。

他製品・材料応力の比較

各種制振ダンパーとの比較

ビルやマンションの安全性を高める制振ダンパー。激しい揺れはもちろん、長周期地震の揺れや風揺れなどの微振動対策にも有効です。
制振ダンパーにはいくつかの種類があり、地震対策としての効果の高さや各種依存性などを比較してみました。

温度依存比較

従来の粘弾性ダンパーや他のダンパーと比較しても温度依存性が小さく、設計しやすいのが特長です。

記号概要凡例
A住友ゴムダンパー
Bアクリル系粘弾性ダンパー
C粘性系ダンパー

0.5Hz加振時の材料応力比較

粘弾性材料の差異 ー 材料応力比較

住友ゴムの制振ダンパーはイソプレン系材料を使用しています。
イソプレン系材料は体積当たりのエネルギー吸収が大きいため、制振装置の小型化が可能になります。

※グラフ面積=エネルギー吸収量

0.5Hz加振時の材料応力比較

またイソプレン系材料は振動数依存・温度依存が低く、設計しやすい特長もあります。

ラインナップ

住友ゴムのビル用制振ダンパーは、高層化が著しいビルの立地条件や
コストに左右されずに導入できるフレキシブルな制振装置です。

設置効果検討事例

建物モデル30層質点モデル
構造S造
平面形状30×30 ㎡
高さ120m
入力波BCJ(レベル1/レベル2)

ダンパー配置

ダンパー設置基数
302
292
282
272
262
254
246
236
226
216
ダンパー設置基数
206
196
186
176
166
156
144
134
122
112
ダンパー設置基数
100
92
82
72
62
52
42
32
22
12
104